アルツハイマー病(AD)の最先端治療は、原因物質であるアミロイドβ(Aβ)を除去して病気の進行を遅らせる「疾患修飾薬」の時代へと移行しました。
薬剤師には、厳格な安全管理と患者・家族へのきめ細やかな心理的サポートが求められています。
疾患修飾薬(抗Aβ抗体)の薬学的観点
日本で現在保険適用されている抗Aβ抗体医薬品には、レカネマブ(レケンビ)とドナネマブ(ケサンラ)の2種類があります。
薬理作用の違い: レカネマブは可溶性Aβプロトフィブリルを標的とし、ドナネマブはプラークを形成した不溶性のN3pG修飾Aβに結合し除去を促します。
ドナネマブはアミロイドが十分に除去された時点で投与を終了できる点も特徴です。
リスク管理(ARIA): 最大の課題はアミロイド関連画像異常(ARIA:浮腫や微小出血)です。無症状のことが多いですが、頭痛や錯乱、けいれんを伴う場合もあり、定期的なMRI検査が必須です。
相互作用の注意: 抗凝固薬や血小板凝集抑制薬などを併用している場合、脳微小出血等のリスクが高まるため、薬剤師による服薬歴の確認および相互作用のチェックが極めて重要です。
薬剤師的考察と臨床的役割
従来の対症療法薬(コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチン) とは異なり、新たな疾患修飾薬は投与スケジュールが厳密であり、以下の役割が薬剤師に期待されます。
適正使用の推進: 投与対象が「軽度認知障害(MCI)および軽度の認知症」に限定されているため、進行度に応じた適切な患者選択の確認や服薬指導が必要です。
副作用(ARIA)の早期発見: 注入反応(インフュージョンリアクション:発熱、悪寒など) やARIAを疑うサイン(頭痛、視覚障害、めまいなど) を患者と家族が把握できるよう、初期症状の指導箋を用いた説明が求められます。
多職種連携: 投与は医療機関での点滴に限られるため、処方医やケアマネジャーと連携し、患者の日常生活の変化や副作用の兆候を共有する体制づくりが重要です。
疾患修飾薬による治療は長期に及び、家族への負担も大きいため、薬学的見地からの副作用モニタリングだけでなく、心理的なケアを含めた総合的なサポートが必要です。









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