芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)は、「産後の聖薬」とも称され、主に産前産後の体力低下や「気・血・水」の乱れ(気滞瘀血など)による諸症状に用いられます。
21種類の生薬から構成され、血の巡りを改善しつつ胃腸を整える薬理学的な特徴を持ちます。
- 漢方療法における薬学的観点(東洋医学的メカニズム)
芎帰調血飲第一加減は、複数の作用をあわせ持つ「多面的アプローチ」が最大の特徴です。
補血活血(ほけつかっけつ): 血を補う四物湯(当帰・芍薬・川芎・地黄)をベースに、血の滞りを改善する桃仁・紅花を含み、全身に栄養を行き渡らせ血行を促します。
理気健脾(りきけんぴ): ストレスによる気の巡りの滞り(気滞)を整える生薬(陳皮・香附子など)と、胃腸機能を高めエネルギー(気)を補う生薬(人参・白朮・甘草など)を配合しています。

- 薬剤師的考察(現代西洋医学的な視点)
薬剤師の観点からは、その複雑な生薬構成が以下のような薬理学的メリットをもたらしていると考察されます。
自律神経とホルモンバランスの同時調整: 理気作用による自律神経の安定化(交感神経の過緊張緩和)と、活血・補血作用による女性ホルモンや血流の改善を両立させます。
西洋薬の副作用や負担を補完: 産後の疲労感や月経困難、更年期障害に伴う不定愁訴(イライラ、不眠、冷え、めまいなど)に対し、単一の対症療法(鎮痛剤や精神安定剤など)ではなく、全身の代謝やホルモン環境を底上げすることでQOL(生活の質)を改善します。
多剤併用時のリスク管理: 多くの生薬が相互に働きを補うため、鎮痛剤や精神系のお薬に頼る頻度を減らす「減薬(ディプレスクライビング)」の選択肢として有用です。ただし、他の漢方薬(とくに四物湯など重複する成分を含むもの)や、抗凝固薬・抗血小板薬などとの併用においては出血傾向などに注意が必要です。
- 注意すべきポイント
本方は幅広い体質に対応できますが、ベースに血虚(血の不足)や瘀血(血の滞り)の要素がある方に適しています。
構成生薬に「大黄(だいおう)」が含まれている場合があり、下痢や腹痛を引き起こすことがあるため胃腸が非常に弱い方は服用に注意が必要です。









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