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近年における膵臓癌(膵がん)の治療薬は、これまで有効な薬剤が少なかった状況から一転し、遺伝子変異を標的とした「個別化医療(プレシジョン・メディシン)」や「画期的な新薬」の登場によって急速な進歩を遂げています。

薬剤師
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近年における膵臓癌(膵がん)の治療薬は、これまで有効な薬剤が少なかった状況から一転し、遺伝子変異を標的とした「個別化医療(プレシジョン・メディシン)」や「画期的な新薬」の登場によって急速な進歩を遂げています。

最新の治療薬および研究動向は以下の通りです。

  1. KRAS変異を標的とした革新的新薬(実用化間近)

膵臓がんの約9割に見られる一方で、これまで薬の開発が極めて困難(ドラッガブルではない)とされてきた「KRAS遺伝子変異」に対して、劇的な効果を持つ新薬が登場しています。

ダラクソンラシブ(Daraxorasib / 開発コード等含む):

特徴:活性型RAS変異タンパク質を阻害する革新的な経口薬です。米国食品医薬品局(FDA)から「画期的治療薬(ブレークスルーセラピー)」の指定を受けています。

治療実績:化学療法後の転移性膵臓がん患者を対象とした臨床試験において、従来の化学療法のみの生存期間(中央値7ヶ月未満)を13ヶ月までほぼ倍増させ、約5割の患者で腫瘍縮小が確認されるなど「希望の光」として大きく報じられています。

セチデグラシブ

特徴:KRAS変異の中でも特に頻度が高い「KRAS G12D変異」を持つタンパク質をピンポイントで分解する薬剤です。

現在、日米等で第3相臨床試験が開始されています。

  1. がん遺伝子パネル検査に基づく「個別化医療(分子標的薬)」

患者ごとのがんの遺伝子変異に合わせた薬剤(分子標的薬)の適応が広がっています。

オラパリブ(リムパーザ)遺伝性乳がん卵巣がん症候群に関わる「BRCA1/2遺伝子変異」を持つ膵臓がんに対して承認されているPARP阻害薬です。

プラチナ製剤による抗がん剤治療後の維持療法として使用されます。

ルカパリブ:オラパリブと同様のPARP阻害薬であり、特定の遺伝子変異を持つ膵臓がんで高い腫瘍縮小効果が示され、今後の国内導入が期待されています。

アレクチニブ(アレセンサ):「ALK融合遺伝子陽性」の進行・再発固形がんに対し、がん種を問わずに使用できる「がん種横断的(臓器不可知論的)」な適応拡大が審議されており、承認されれば膵臓がんでも選択肢に加わります。

  1. 海外での新たな一次治療(初期治療)の承認

NALIRIFOX(ナリリフォックス)療法

米国FDAが転移性膵臓がんのファーストライン(最初の治療)として承認した新しい併用化学療法です。従来の標準治療を上回る良好な生存率を示したことで、10年以上の歳月を経て新たな第一選択薬となりました。

  1. 現在進行中の注目すべき新薬・治療戦略

エルラグルシブ(Elraglusib):未治療の転移性膵臓がんを対象とした第2相臨床試験において、1年生存率を大きく向上させたことが医学誌『Nature Medicine』などで発表されています。

FAK阻害薬(Narmafotinib)

がんの線維化や薬剤耐性に関わるFAK(接着斑キナーゼ)を阻害する薬で、標準抗がん剤(ゲムシタビン+ナブパクリタキセル)との併用で治療効果を高める治験が進んでいます。

老化誘導×老化細胞除去(セノリティック)の2段階治療:日本の研究チーム(東京都健康長寿医療センターなど)において、FGFR4阻害薬(BLU554)でがん細胞をあえて「老化」させ、それを別の薬剤で狙い撃ちして除去する革新的なアプローチが発表され、注目を集めています。

最新の治療薬(特に分子標的薬)の恩恵を受けるためには、ご自身のがんにどのような遺伝子変異があるかを調べる「がん遺伝子パネル検査」が鍵を握ります。

まずは主治医にゲムノ検査の適応について相談してみることを強くお勧めします。

プロフィール
パンダ

大阪府の「堺市(さかいし)」に住んでいる現役の薬剤師(パンダ)です。
過去は調剤薬局の開設者&管理薬剤師を30年以上経験しておりましたが、新たに病院薬剤師として勤務しております。当サイトは、自身の備忘録を兼ねて、記憶を綴る個人ブログです。
サイト名:【薬剤師ブログ】yaku7.jp

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