乳癌治療の最新動向として、特に抗体薬物複合体(ADC)の発展と分子標的薬の適応拡大が挙げられます。
がん細胞をピンポイントで攻撃し、正常細胞へのダメージを減らす治療法や、遺伝子変異に合わせた個別化医療(プレシジョン・メディシン)が主流となっています。
- 抗体薬物複合体(ADC)の躍進
ADCは「ミサイル療法」とも呼ばれ、がん細胞の目印を狙う抗体と、強力な抗がん剤(ペイロード)を結合させた薬剤です。
トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)
HER2を標的とする画期的なADCで、HER2低発現の乳癌にも効果を発揮し、治療の選択肢を大きく広げました。
サシツズマブ ゴビテカン(製品名:トロデルビ)
TROP-2というタンパク質を標的とし、治療が難しいとされるトリプルネガティブ乳癌などに新たな選択肢となっています。
- HER2陽性乳癌に対する新たな分子標的薬
HER2陽性の進行・再発乳癌に対して、新しい治療薬が国内でも承認されました。
ツカチニブ(製品名:ツカイザ)
HER2を選択的に阻害するチロシンキナーゼ阻害薬です。
既存の抗HER2薬(トラスツズマブやカペシタビン)と併用することで、化学療法歴のある患者さんの新たな選択肢として2026年4月に発売されました。
- 個別化医療の進展(リキッドバイオプシー)
血液検査だけで遺伝子変異を調べる「リキッドバイオプシー」の技術が進歩しています。
これにより、ホルモン受容体陽性・HER2陰性乳癌における「ESR1遺伝子変異」などを特定し、その変異に最適化された新規ホルモン療法の適応判定がスムーズに行えるようになっています。








