今日の高校生における「薬剤師願望」は、「医療の専門職として高い人気を維持する側面」と「学費や将来の供給過剰リスクによる現実的な敬遠傾向」という、二極化の局面を迎えています。
各種の「なりたい職業ランキング」では現在も女子を中心にトップ10前後にランクインする定番の人気職ですが、大学受験の現場(薬学部の志願者数)を見ると3年連続で減少傾向にあります。
現代の高校生の「薬剤師」に対する本音と動向を、背景にある要因とともに整理しました。
- 高校生が「薬剤師になりたい」と思う主な動向
高校生のなりたい職業ランキングにおいて、薬剤師は依然として安定した資格職として人気があります。
女子高校生から高い支持:女子のランキングでは特に上位(5位〜10位前後)の常連であり、出産や育児などのライフイベントがあっても全国どこでも「手に職」で長く働ける点に魅力が集まっています。
身近なロールモデルの存在:幼い頃に病院や身近な調剤薬局、ドラッグストアで親切にしてもらった経験や、親・親戚が薬剤師であるという理由から憧れを持つケースが多いです。
「人を支える」やりがい:
近年は薬の調剤だけでなく、患者に寄り添う「かかりつけ薬剤師」や病院での「チーム医療」の姿が広く知られるようになり、直接人の役に立てる医療職として目指す生徒が増えています。
- 一方で「志願者減少」が止まらない現実的な理由
その一方で、実際の薬学部への志願者数は年々減少しており、かつての「薬学部バブル」は完全に終息しています。
高校の進路指導でも「安易に勧めない」ケースが増えているのが現状です。
高校生や保護者が直面する現実
高額な学費と6年制の壁
医学部と同じく6年間の通学が必要で、私立薬学部の場合は総額1,000万円を超えるケースが多いため、費用対効果(コスパ)を理由に諦める家庭が増えています。
「2040年 薬剤師余り」の不安
厚生労働省などの推計により将来的な供給過剰(薬剤師が余る)のリスクが報道され、「将来本当に安定なのか」を疑問視する現実的な見方が広がっています。
進級・国家試験の厳しさ
一部の私立大学では内部での留年率が高く、6年間通っても国家試験に合格できないリスク(ストレート合格率の低さ)がネット等で可視化され、敬遠材料になっています。
高校の進路指導の変化
日本薬剤師会の会議でも指摘された通り、高校の三者面談で「高額な奨学金を背負ってまで目指すのはリスクがある」と、他学部への進路変更を促されるケースが出ています。
まとめ:今日の高校生の「願望」の結論
現在の高校生にとって、薬剤師は「憧れや魅力は依然として高いものの、目指すには相応の覚悟と高い経済的・学力的なハードルがある、ハイリスク・ハイリターンな職業」と捉えられています。
そのため、なんとなく「安定しているから」という理由だけで選ぶ層は減り、「どうしても新薬の開発に携わりたい」「地域医療で患者を支えたい」といった強い意志を持つ生徒が厳選されて目指す職業へと変化しつつあります。








