国立大学病院の約7〜8割が赤字経営に陥っており、2025年度は全体で400億円超の赤字が見込まれる危機的状況です。
主な原因は、医師の働き方改革に伴う人件費増、物価・エネルギー費の高騰、診療報酬の低迷です。先進医療や研究・教育機能の維持が困難になり、老朽化した医療機器の更新も滞るなど、地域医療の砦が崩壊しかねない事態となっています。
赤字経営の主な要因と背景
支出の急増: 人件費(働き方改革への対応)、光熱費、医薬品費、医療機器の物価高騰が収益を圧迫しています。
構造的な低収入: 高度専門医療を担う一方で、診療報酬制度上、手間やコストに見合った収入が得られにくい構造があります。
運営費交付金の削減: 国立大学の法人化以降、国からの交付金が減らされていることも経営圧迫の一因です。
現場が抱える深刻な影響
医療機器の更新遅延: 保証期間切れの機器や、10年以上前の医療機器を使い続けているケースが多い。
人件費抑制による若手流出: 経営改善のために人件費を削減することで、若手研究者や医師の待遇が悪化し、人材流出を招く恐れがある。
研究・教育への影響: 診療収益で研究費を賄う構造のため、赤字は研究や教育の質を低下させます。
今後の展望と対策
この状況に対し、国立大学病院長会議は国に財政支援や診療報酬の引き上げを緊急要望しています。一部では病床機能の転換や、地域連携の強化による収益改善の試みも行われていますが、構造的な解決には、社会インフラとしての大学病院のあり方を見直す必要があります。



