
ICT(感染制御チーム)における薬剤師の視点は、抗菌剤を「最も有効かつ安全に使用し、かつ薬剤耐性菌(AMR)の発生を防ぐ」適正使用(Antimicrobial Stewardship)の推進にあります。
PK/PD理論に基づく用量設定、TDM(薬物血中濃度モニタリング)の実施、および耐性菌の動向監視の3つの観点から多職種連携を支えます。
PK/PD(薬物動態・薬力学)に基づく用量・投与設計
薬剤師は、抗菌剤が「いつ、どれだけ効くか」を科学的に評価します。
効果の最大化: 薬の血中濃度がどのくらい続けば細菌を殺せるか(時間依存性、濃度依存性)を計算し、患者の腎機能や肝機能に応じた最適な投与量・投与間隔を提案します。
副作用リスクの軽減: 過剰投与による臓器障害などのリスクを未然に防ぎます。

TDM(薬物血中濃度モニタリング)の主導
特定の抗菌剤(バンコマイシンやテイコプラニンなど)は、血中濃度が高すぎると副作用が起き、低すぎると効果が出ない(耐性菌を生む)特徴があります。
個別化医療の提供: 血液検査データから投与設計を行い、医師へ処方変更を提案(薬学的介入)します。
耐性菌サーベイランスと環境モニタリング
ICTの一員として、院内全体の感染状況や抗菌薬の使用動向を常に監視します。
エンピリック治療の検証: 培養検査の結果が出る前に行われる初期治療(エンピリック・セラピー)が、院内の耐性菌データと合致しているか評価します。
適正使用のフィードバック: 長期投与されている抗菌剤に対して、 de-escalation(より狭いスペクトラムの薬剤への切り替えや中止)を主治医に働きかけます。
医療経済とスペード・スチュワードシップ
広域スペクトラム抗菌剤や高額な注射用抗菌剤の不必要な長期使用は、医療コストの増大と耐性菌の増加を招きます。
薬剤師はこれらの使用動向をデータ化し、病院経営と公衆衛生の両面から適正化を支援します。








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