突発性難聴の漢方療法について、よくご質問をお受けします。
突発性難聴の発症直後は、早急に耳鼻咽喉科を受診し、ステロイド点滴などの標準治療を行うことが最も重要です。

漢方薬は、初期治療と並行して行う「内耳の血流改善」や、急性期を過ぎても残ってしまった「耳鳴り・めまい・耳閉感」などの後遺症、また再発を防ぐための体質改善として有効な選択肢の一つとなります。
東洋医学(漢方)では、突発性難聴を単なる耳の病気としてではなく、「水分代謝の異常」「ストレスによる気の滞り」「加齢や過労によるエネルギー不足」など、全身のバランスの乱れが耳に現れたものと捉えてアプローチします。
突発性難聴によく用いられる代表的な漢方薬
漢方薬は「証(体質や症状のタイプ)」に合わせて使い分けられます。

1. 水分代謝の異常(水毒・内耳のむくみ)
耳の内耳に余分な水分が溜まる(むくむ)ことで、聞こえの神経が圧迫されているタイプに用います。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):立ちくらみや、耳の詰まった感覚(耳閉感)が強い方に適しています。
2. ストレスや自律神経の乱れ(気の滞り・肝火)
強いストレスや過労、イライラ、不眠などにより自律神経(肝)が乱れ、耳周辺の血管が収縮しているタイプに用います。
釣藤散(ちょうとうさん):慢性的なストレスや、朝方に頭痛・めまいが起きやすい方に用いられます。

3. 加齢や過労(腎虚・エネルギー不足)
東洋医学では「耳は腎(じん)と直結している」と考えます。加齢や慢性的な寝不足、過労によって生命エネルギーが衰え、耳の機能が低下しているタイプに用います。
滋腎通耳湯(じじんつうじとう):体力が低下し、疲れると耳鳴りや難聴が悪化する方に広く用いられる処方です。

注意点と次のステップ
まずは耳鼻科の受診を優先:発症から2週間、できれば48時間以内の早期治療が聴力回復の鍵となります。まずは病院のお薬(ステロイドなど)での治療を受けてください。
併用の確認:病院のお薬と漢方薬は基本的に併用可能ですが、必ず処方医や薬剤師に相談してください。
市販薬の注意:漢方薬は同じ「難聴」という症状でも、体質(冷え、のぼせ、胃腸の強さなど)によって選ぶべき種類が180度異なります。
自己判断で市販薬を選ぶより、漢方外来のある医療機関や専門の漢方薬局でカウンセリングを受けることをおすすめします。








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